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2012.09.17

文化の混ざり合う国ベトナム

ベトナム国国家生物多様性データベース開発プロジェクト 

業務調整 小林麻由香

ベトナムと言えば、アオザイ、生春巻き、フォー(ベトナム風ラーメン)などいくつかげられるほど日本人にもなじみの深い国の一つだろう。経済的にも成長期にあり近隣諸国に比べて豊富な資源を有しているため、世界中から注目を集めている。

プロジェクトサイトのハノイはイメージの通り活気に満ちて、同時にフランス統治時代とベトナム独自の街並の混合と、多種多様の文化の混在は、独特の印象を与えてくれる。

中心地である旧市街・ホアンキエム湖周辺には、年配のみならず若い女性もいるイメージ通りの天秤棒を担いだ売り子、歩道と車道を埋め尽くすオートバイ、昼間から小さな椅子に座りお茶をしながら話し込んでいる男性陣などが多くみられる。一方で街の中心となるハノイ大教会、パリのオペラ座をモデルにしたオペラハウス(大劇場)、アジア風と西洋風の3階4階建の建物が所狭しに連立する。

平日の昼間からお茶して歓談する男性たち
ハノイ大教会

食文化では、ベトナムも日本と同じ米を主食としている。ベトナム北部で良く食べられるブン・チャー(豚肉の網焼きつけ麺)、チャー・カー(白身魚揚げ)、フォーは全て米から作られるブン・フォーという麺をおかずと一緒に食べる。他方パンを主食としたビフ・テク(牛肉のステーキ)などやバーベキュー、バインミー(フランスパンのベトナム風サンドイッチ)はパンの中にアジアを感じる。どちらの主食をとっても料理の味は繊細で、且つ創作力・思考力を感じることができる。

ブン・チャー
チャー・カー
バイン・ミー

また手先が器用で繊細なベトナム人ならではの代表的な民芸品である刺繍絵は、17世紀頃本格的に中国から伝承され、現在でも自然染料で染め上げた数百種類のシルク糸を使って、一針一針丁寧に人の手で縫い上げている。

上述のようなベトナムの独特で豊かな文化生活とは一転、旧市街から西へ10kmほど移動した新市街と言われる省庁街は、30~70階建の巨大なビルが野原の中に点々とそびえ立っている。数年後にはこの地域一帯が高層ビル街になり、新市街としてさらなる安定した政治・経済発展が期待されるだろう。

数十年に渡る植民地支配と戦争からの復興を見事に遂げているベトナムの今後に期待しながら、同時にこの急激な経済発展の裏に起こる文化・環境への影響にも目を向けなければならない。当プロジェクトも、生物多様性保全を目的とした国家レベルのデータベースを開発しその持続的な運用を技術移転するべくハノイおよびナムディン省を中心に活動中である。

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