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2008.04.29

モザンビーク活動報告

保健人材育成分野短期専門家 井上洋一

私は保健人材育成の専門家として2007年11月から約3ヵ月、モザンビーク共和国で活動しました。モザンビークの生活などについてご紹介したいと思います。

モザンビークはアフリカ南東部に位置し、南アフリカ、ジンバブエ、マラウイ、ザンビアに隣接しています。国土の東部はインド洋に面していることから魚介類が豊富で、特にエビは対日主要輸出品目となっています。国土面積は日本の約2.1倍で南北に長く、右手をコの字にしてマラウイを掴んでいるような形です。

首都マプトのホテルからの眺め

アフリカの中では数少ない旧ポルトガル領で、ポルトガル語が公用語です。他のアフリカ諸国と同じように独自の訛があり、ポルトガルのポルトガル語でもブラジルポルトガル語でもない「モザンガル語」とでも言いましょうか、独特の趣があります。私はあいにく英語しか解さないのですが、言葉の面ではやはり苦労が絶えませんでした。今回は、JICAブラジル事務所から初めてアフリカへの第三国専門家の派遣があり、サンパウロ大学医学部の伊藤ルーシー医師と協働しました。伊藤専門家は日系3世ですので、もちろんポルトガル語はネイティブなのですが、最終報告書は現地保健省の職員に文法を直される一幕もありました。3ヵ月間、伊藤専門家と協働した私も知らず知らずのうちにブラジルポルトガル語になっていたようで、現地職員から「あなたのポルトガル語の発音はプラジルポルトガル語だね。モザンビークにいるなら直さなくてはいけません。」と言われ、苦笑した思い出があります。

仕事は保健人材育成機関(日本で言うところの専門学校のような学校)で、そこで働く教員の技術レベルの評価を中心に行いました。モザンビークには13の保健人材育成機関があり、調査のために半分以上の学校を回ることが出来ました。国土は南北に長いために気温の差が大きく、首都のマプトは南端にあるので比較的過ごしやすいのですが、出張で滞在した北部のテテ州では最高気温が40度以上になり、泊まったホテルのオーナーには「ネクタイなんか締めていたら死ぬぞ」と脅されました。

保健人材育成学校でのアンケート調査(伊藤専門家と)

経済的には近年急速な成長が見られ国民の生活は豊かになってきているように思えましたが、どちらかと言えば貧富の差が拡大しているようです。滞在中にモザンビーク初の巨大ショッピングモールがオープンしましたが、一般庶民向けではないようです。それでも物珍しさからか、いつも現地の人たちで店はあふれ、大盛況と言ったところです。3ヵ月間ホテル住まいでしたので食事のほとんどは外食でしたが、物価は高いですね。ケニアから出張でこられていたJICA企画調査員の方も「モザンビークは物価が高い」とおっしゃっていたので、やはり高いのでしょう。日本にいるときとあまり感覚的には変わりませんでした。レストランは外国人が多く、値段も外国人価格なのだと思います。普通に食べようと思えば、食事と飲み物で千円程度は覚悟しなければなりません。「バラッカ」と呼ばれる小屋で食事を提供しているお店もあり、値段も安くて非常に美味しいのですが折しもコレラ真っ盛りの季節、2、3度しか食べに行けなかったのが残念でした。

保健人材育成学校の生徒たちと
学校給食の準備

簡単でしたが、モザンビークの紹介をさせて頂きました。アフリカの中にあっても他の国々とはまた違った趣きのあるモザンビーク、一度足を運んでみるのもいいかも知れませんよ。

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