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2024.12.16

アンコールワットの朝日とヤシの実の甘いひととき~カンボジア~

調査部 後藤佑真

カンボジアの観光地として有名なシェムリアップ。ここは、世界遺産に指定された数多くの歴史的建造物がありますが、私が特に印象に残ったのはアンコールワットとタプローム寺院です。

朝日が昇るアンコールワットには、早朝にもかかわらず大勢の観光客たちが集まり、遺跡を背に昇る太陽を拝みます。私が訪れた日はやや曇り空でしたが、朝日とともに池に浮かぶ「逆さアンコールワット」も見ることができました。ちなみにアンコールワットの頂点である中央塔から朝日が見られるのは、年に2回の春分の日と秋分の日だけだそうです。

アンコールワットの中を巡ると、遺跡自体は石でできており、その彫刻が非常に細かく繊細であることがわかります。壁面には、戦いの模様や当時の生活の様子が描かれており、歴史を感じさせてくれます。近くのお寺からは、読経とお祈りの声が聞こえ、カンボジアの人々の信仰心の強さを感じることができました。カンボジアの国旗にはアンコールワットが描かれていることからも、この遺跡が国の象徴であり、重要な存在であることがわかります。

アンコールワットの朝日
アンコールワットの遺跡

タプローム寺院では、大木に飲み込まれてしまった遺跡を見ることができます。遺跡全体がまだきちんと修復されず、崩れた状態のままの箇所もありますが、遺跡や崩れた石に生えている緑色の苔はとても奇麗で神秘的です。乾季に入り暑さが増す11月からは、苔は見られなくなるそうです。ここは数々の映画の撮影スポットとしても有名で、選ばれるのも納得できる場所です。

この地域一帯に広がる遺跡群は広大で、気温も高くなるため、訪れる際には日差し対策や飲み物の準備が大切だと感じました。

タプローム寺院1
タプローム寺院2

カンボジアのクメール料理は、歴史的にもベトナムやタイ料理の影響も受けているようですが、タイ料理よりもあっさりした印象で、食べやすくて美味しいです。

屋台では、日本では中々見かけない食べ物にも挑戦しました。勇気を出して挑戦したカエルの丸焼きは意外にも美味しく、クセがなくて驚きました。見た目は少しドキドキしますが、味は想像以上に繊細で、鶏肉に近い味わいです。

カエルの丸焼き

私の中での一押しの食べ物は、ノムタナオと呼ばれる蒸しケーキです。ノムタナオの材料はとてもシンプルで、ヤシの実の粉、ココナッツミルク、砂糖だけです。食感はモチモチしていて、ほんのり甘い生地の中にトロリとしたココナッツミルクが入っています。出来立ては思わずやけどしそうになるほど熱々でしたが、その熱さが出来立てならではの美味しさを引き立てています。ノムタナオはカンボジアの市場でも売られているそうですが、ココナッツミルクが入ったものが食べられるのはシェムリアップだけだと、同行した現地スタッフの方も言っていました。ノムタナオは、大切な家族の行事や地域のお祝いにも深く関わっている伝統的なお菓子だそうです。お店の奥では、大量に積み上げられたヤシの実を一つひとつ手作業で剥くところから、最終的に蒸し上げるまでの一連の工程を見ることができました。

ノムタナオ
市場の様子

シェムリアップでも多く見かけるヤシの木ですが、カンボジアでは様々な形に加工され、広く流通しています。木の幹は建材や家具に使われ、実はオイルやジュースに加工され、葉っぱは家の屋根や食器、帽子、さらには祭りの装飾品などに利用されています。このようにヤシの木は、カンボジアの生活にとって重要な役割を果たしています。私もお土産として、世界一美味しいとも言われるカンボジアの胡椒の実を擂ることのできる、ヤシの木でできたすり鉢を購入しました。(胡椒は買い忘れてしまいました…)

すり鉢

カンボジアの人々はどこへ行っても、温かく優しい笑顔と挨拶で迎えてくれて、とても礼儀正しく親しみやすい方が多いことが印象的でした。 国の更なる発展を願いつつ、同時に歴史的な遺跡や文化が変わらずに残ってほしいという思いを抱きながら、カンボジアを後にしました。シェムリアップは、歴史と自然が織りなす神秘的な場所で、また数年後に訪れたいと思える場所となりました。カンボジアはどんな面でも新しい発見があり、決して飽きることのない国です。もし訪れる機会があれば、ぜひその歴史や文化、人々との触れ合いを楽しんでほしいと思います。

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