ウクライナをご存知?
ウクライナ日本センター ビジネス・コース運営部門
JICA短期専門家 玉井 政彦
読者の皆さん、「チェルノブイリ」原発事故がいつ頃おきたのかご記憶でしょうか?世界中を震撼させたあの事故から20年以上が経っています。この原発事故は、1986年当時ソ連邦を形成していた「ウクライナ共和国」のチェルノブイリでおきました。
筆者はそのチェルノブイリから南南東100kmの地点にあるキエフ市にて滞在中です。今年7月初め、JICA短期専門家として「ウクライナ日本センター」ビジネス・コース運営部門に派遣され、11月中旬まで滞在予定です。
キエフ市は、1991年8月にロシアから独立した「ウクライナ国」(旧ウクライナ共和国)の首都で人口300万人の都会です。国全体では47百万人の人口で、地政学的に言えばロシア、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、ルーマニア、モルドバ、ベラルーシの7カ国に国境を接しており、面積は日本の約1.6倍です。民族的には約78%がウクライナ人で、ロシア人が約17%。公用語はウクライナ語ですが、キエフ市内ではロシア語が一般的に使われています。
さて、読者の皆さんは「ウクライナ」から何を連想されましょうか?ドニエプル河とそれが流れ込む黒海、オデッサ、クリミア半島、ヤルタあるいは「ヤルタ会談」を連想された方は、ウクライナに詳しい方といえましょう。
当地に詳しい日本人女性に尋ねました。「ウクライナを一言で表現してください」と。即座に答えが帰ってきました。「賄賂、ジャガイモ、美人」。賄賂は、政財界はおろか大学、学校、至る所で頻繁に見られる行為らしいのです。ウクライナ人は「賄賂がお好き」のようです。学校の先生が生徒の父兄にカネを出して欲しいとおねだりするのは日常茶飯事。名目は備品の購入、修理費、誕生日等と理由付けがうまく施され、カネの行き先は先生のポケット。大学教官も含め学校の先生の給料が安すぎることがこの賄賂の原因となっているようです。
筆者はウクライナを代表するものの一つとして、「シェフチェンコ記念国立オペラ・バレエ劇場」を挙げます。ちなみに筆者は、劇場の正面のアパートに入居中。今年9月、日本でもキエフ・オペラが公演されたようですが、キエフでも9月、オペラ・バレエのシーズンに入りました。マダム・バタフライ、トラビアータ、セビリアの理髪師、カルメン・・・と楽しんでいます。「キエフ・バレエ」は、世界3大バレエの一つとか。見栄えがします。
ところで、「ウクライナ日本センター」のある「キエフ工科大学」は、元素の周期律を発表したあの有名なメンデレーエフ博士が教鞭をとった大学です。この大学では学士・修士・博士課程の計42千人が勉学に励んでいますが、JICAは当大学と2006年5月から「ウクライナ日本センター」の運営を開始しました。今後、ますます同センターの名称がウクライナでブランド化することを願っているところです。