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2024.10.25

虹色の国 ・南アフリカ共和国

調査部 平野太一

日本から飛行機を乗り継ぐこと約20時間。日本を出た日は猛暑日だったが、気温の低さと人々の服装で、季節が逆の南半球に来たことは簡単に認識できた。

ここはアフリカ大陸最南にある南アフリカ共和国、ヨハネスブルクである。

この記事では、主に南アフリカの簡単な歴史と生活、名物(食事)について説明をしようと思う。個人的見解も含まれているので間違いがあるかもしれないが、主に私が現地で見て、聞いたことを元に作成している。

(写真左:ヨハネスブルクの街並み。写真右:ネルソンマンデラ国立博物館)
ヨハネスブルクの街並み
ネルソンマンデラ国立博物館

南アフリカと聞いて、日本では主に人種隔離政策の「アパルトヘイト」で耳にしたことがある方が多いのではないかと思う。1994年、今から20年前、アパルトヘイト体制撤廃後初の全国民、全人種が参加した総選挙が行われ、アフリカ民族会議(African National Congress、ANC)の代表であったネルソンマンデラ氏が大統領に就任し、黒人隔離政策であったアパルトヘイトは終焉を迎えた。その後、20年にわたり、ネルソンマンデラ氏が率いたアフリカ民族会議(African National Congress、ANC)が議会の第一党を維持している。

歴史的には、17世紀ヨーロッパ人の入植以降白人系、黒人系、カラード(混血)、アジア系等、様々な人種が暮らしているこの国で、ネルソンマンデラ氏は「虹色の国」を目指すという宣言をした。彼は自身がアパルトヘイト政策により、27年もの間投獄されていたにも関わらず、人種による対立ではなく、多様な人種の融和による、国の形を目指した。その意思は現在でも引き継がれ、白人系、黒人系を主として様々な人種がそれぞれを尊重しながら生活をしている。そのため現在南アフリカは、大別すると4人種9部族から構成され、世界最多の11種の公用語をもつ。

南アフリカを語る上で、歴史の背景を認識することはとても重要である。南アフリカに関する歴史的、政治的な記事や書物は専門家により多く存在するため、ここではこれ以上記載しないことにする。

私は新しい国に行った際、まずその国の名物を聞き食すことにしている。南アフリカに到着し最初に「この国の名物は?」と聞いたら、「ブルボス」・「ビルトン」・「ワイン」と言われた。名前だけでわかったのはワインだけであった。 1つ目の「ブルボス」とは、ソーセージのことで、ドイツ系の移民が持ち込んだとされている。このとても太くて長いソーセージをとぐろ状に成型し、バーベキューで焼き、食べることが多い。味はスパイスが効いていてとてもお酒に合う味となっている。

2つ目の「ビルトン」とは干し肉のことでありビーフジャーキーのような味わいと触感でこちらも酒にはとても合う。(肉製品のため残念ながら日本にはお土産として持ち込めないが・・・)南アフリカではスーパーマーケットでも簡単に購入できるが、専門店ではダチョウやワニのビルトンも入手できるようなので、南アフリカに渡航した際は探してみるといいかもしれない。

最後にワインであるが、日本でもインターネットやワイン専門店では南アフリカのワインを目にすることができる。「ピノタージュ」という品種が有名であり、この品種は南アフリカで品種改良された品種となっており、スーパーマーケットやワイン専門店では数多くのブランドを楽しむことができる。また、ブドウ畑の中にあるホテルに滞在し、滞在中ワインと食事に楽しむことができるプランもあるようで、ワイン好きの方にとっては魅力的ではないかと思う。 以上の3つは日本人の口にも合う味となっており、南アフリカへ訪問することがあればぜひ食してほしい。

現地での生活についてだが、基本的なインフラは整っており、日本と変わらない生活が可能である。近年電気インフラの問題により計画停電が頻繁に発生しているが、この計画停電もスマホのアプリで自分の生活している地域は何時から何時まで停電するということを事前に知ることができ、備えることができる。各家にはソーラーパネルを備えている家が多く、停電中も最低限の電力はそのような自家発電で賄っている家庭が多い。ただしこれは中流家庭以上であり、収入が低い家庭では、インフラ設備が備わっていないところも多いと聞いた。このようなところでは、世界最大のジニ係数となってしまっている南アフリカ社会の実情を伺うことができる。

また、南アフリカといえばラグビーである。イギリス植民地時代から白人のスポーツの代表であったものの、最近では黒人初のキャプテンや、プレイヤーが増えており、白人系のパワーと黒人系のスピードを融合したチーム構成となっている。2019年、2023年のワールドカップを連覇、2024年の南半球の国々で行われているチャンピオンシップも制覇し、現在名実共に世界最強チームとなっている。

日本のラグビーリーグにも南アフリカの選手が在籍しているので、興味がある方は日本で観戦することが可能である。

まとまりの無い内容のレポートとなってしまったが、南アフリカは犯罪率が高く怖いというイメージを持つ人が多いと思う。確かに犯罪率などは高く、日本と比べると危険度が高いことは間違いない。しかし、私が南アフリカで出会った人々はとても温和で、真面目で楽しい方ばかりであった。

正しい情報を入手し、正しく恐れ、準備すればどの国でも楽しく過ごすことができると私は考えているので、南アフリカに興味がある方はぜひ訪問することを検討してみてほしい。

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