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2020.05.17

太陽が育んだテキーラとソウルフード~メキシコ~

調査部 研究員 平野 太一

初めてメキシコシティ空港から降り立つと、南国のような強い日差しを感じた。しかし、湿度は低く、一歩日陰に入ると涼しく快適に過ごすことができる。
メキシコ合衆国はアメリカ中西部の南に位置し、中南米と呼ばれる地域にある。元々はアステカ文明で栄えた後、大航海時代にスペインに占領され19世紀に独立を果たすまでスペインの占領下にあった。日本では罰ゲームでなじみのある「テキーラ」の原産国である。その首都メキシコシティは標高2200mに位置し、私が渡航した2月下旬は最高気温23~24℃、最低気温は5~8℃と高原気候となっている。そのため現地では、コートを着ている人もいれば半袖やノースリーブで過ごしている人もいる。同じ店内で半袖の客とコートにマフラー姿の客が、隣り合わせで座っているなんて光景もちらほら見かけた。こんな光景からも気温の変化が大きいことがうかがえる。

多くの人がメキシコと聞くと「マフィア」や「危険」なイメージを抱いていると思う。私も渡航前は現地の治安のことを重点的に調べたりしていた。しかし、現地で過ごしていると現地の人からはそのような気配を感じることはなく、みんな「Hola!」と笑顔で挨拶をしてくれる。現地の人でも危険で近寄らない地域もあるそうだ。しかしそのような地域を除けば、みんな普通に買い物や食事、公園で会話、バーでサッカー観戦を楽しんでいる。私自身も海外での基本的な注意事項を意識していれば、危険な雰囲気は感じず楽しく過ごすことができた。

メキシコシティは人口約3000万人をかかえる大都市であり移動手段はもっぱら車である。そのため交通渋滞が日常的に発生している。大した距離の移動ではないのに時間を要してしまうこともしばしば起きる。そのため、会議の時間に遅刻なんてことは、度々発生するらしい。日本では仕事の開始時間に遅れるのはいかがなものかと感じると思うが、メキシコではある程度許容されているようである。日本にいると、常に時間に支配されているように感じるが、メキシコにいる間は気候や人の温かさからか、少し時間から解き放たれた気分になる。

もう一つ、外国へ渡航した際に楽しみなもののひとつが食事であろう。人間は活動するためには、食事をとらなければならない。現地での食事は命にかかわることである。
「メキシコ人は軽く夕食を取る。」現地へ行く前にそんな言葉を耳にした。日本とは異なる食生活なのかと想像していた。しかし、よくよく聞いてみるとどうやら様子が違うようである。メキシコ人は1日5食食べるというのだ。「朝食」・「昼前の間食」・「昼食」・「おやつ」・「夕食」・「夜食」。なるほど、「夕食」は軽くなるわけだ。

そんなメキシコ料理の代表といえばやはり「taco(s):タコ(ス)」であろう。日本でも食することのできるこの料理、やはり本場の「tacos」は非常においしい。日本で食することのできる「タコス」とはまるで違うのである。自分の好みのサルサを巻き、自分好みの様々な味を作ることができる。日本でいう「手巻き寿司」のような感覚だ。中に挟む具材も、肉の各種からエビなどを巻いたものまであり様々な味が楽しめる。メキシコのソウルフードというわけだ。

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